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カナダ留学と移住についての日記

AEONの挑戦 素晴らしき戦士達

 2023年2月4日のテレビ番組「ジョブチューン ~アノ職業のヒミツぶっちゃけます! イオンvs超一流和食・中華料理人」を楽しく拝見しました。現場で働く商品開発部門の戦士達の感動する内容のTVショーです。

スーパーの総菜

 コロナの影響もあり中食(惣菜)分野の売り上げが堅調に伸びる中、全国で最大のシェアを誇る巨大小売企業のイーオンがミシュランの料理人へ挑む姿は感動を覚えました。お手頃価格で美味しい、誰もが楽しめる品揃えは、今や一般家庭の食卓を支える重要な市場となっています。2021年の惣菜市場規模は、前年対比103.0%の10兆1,149億円と一大産業です。私も日本に住んでいたころは、仕事帰り、疲れた時、手を抜きたい時などに、本当にスーパーの総菜にはお世話になりました。便利で、とにかく美味しいし家庭の味をいつでも自宅で楽しめます。

ターゲット

 先述のように簡単で便利な惣菜ですが、そのターゲットは誰なんでしょう?言わずもがな私達一般国民で、例えるならファミレス、居酒屋、定食屋、ファストフードなどが好きな一般的な日本国民だと思います。つまり、ライバルは500円前後を中心とするお手頃価格の商品であって、ホテル、ミシュランレストラン、高級レストランではないと思っています。向上心をや好奇心を持って商品の価値を高めることは素晴らしいと思いますが、やり過ぎはいかがなものかと思います。

違和感

 番組ではイオンの従業員に人気の総菜10品を、料理専門家が試食してその品質を評価するというものです。料理専門家とはミシュランを始め、名だたる高級レストランのシェフであり、スーパーの惣菜を評価をすることに違和感を覚えました。各社が努力や改良をして商品価値を高めていくのは理解できるのですが、今回だと、例えばスーパーの総菜VSファミレスとかでバランスが取れるのではと感じたのです。

 専門家が試食する前にスタジオの出演者が試食するのですが、そのコメントがすべて高評価なんです。みんなが美味しいと声を上げ、笑顔で感想を述べているのはほほえましくも映ります。しかし、スタジオで満場一致の高評価を得た総菜が専門家たちの前では同じ評価を獲得できない場合があります。イオンの従業員に最高評価を得た中華丼やから揚げが料理専門家には最低評価になってしまう。これは本来、スーパーの惣菜とするターゲットではないと思います。スタジオの評価は、本来の総菜のイメージだと感じました。

客単価

 普段から客単価の高い料理を提供する料理人たちは、厳選された材料と卓越した技術を融合させて一品数千円から数万円の料理を提供しているのです。提供する料理の価格設定には上限があるとは思いますが、原価に対して売価を設定できるのだから、スーパーの総菜とは土俵が違います。

 しかし、スーパーの総菜は価格設定が非常に重要であり、原価に対して相当の利益を簡単に上乗せできません。競合がひしめく中、中食と外食の板挟みにもなりながら難しいかじ取りを迫られます。惣菜の価格を30円上げるのと、高級料理の価格を1000円上げるのとでは次元が違います。惣菜の値段が30円変わると売り上げが大きく変わるでしょうが、高級料理が1,000円値上げしても大きな変化は生じません。店頭で288円で販売している総菜の価格を30円上げると、300円を超えて見た目のお買い得感が大幅に減少します。なぜなら、それぞれの顧客ターゲットが根本的に違うからです。一般庶民と富裕層の違いです。

 

素晴らしき戦士達

 イオンの商品開発部の戦士たちは、この不公平と言うか、厳しすぎる向かい風の状況でも、限られた時間で知恵を絞り、試行錯誤と改良を重ね惣菜の価値を高めていくのです。その姿には感動さえも覚えますし、数百円の価格の裏側には壮大なドラマが展開されていたのだと初めて知りました。厳選素材、調理法の改善、専門調理機材の導入など、たかが惣菜、されど惣菜です。薄利であっても面で一気に販売攻勢を仕掛けられる利点があるからこそ、低価格の商品であっても血の滲むような努力が可能なのだと思います。しかし、あれだけの舞台裏(すべてでは無い)を見せられると、もう少し総菜の値段を上げてもいいのでは痛感しました。一気に値段を変えてしまうのはリスクがあるので、例えば主力商品を10円値上げして、その利益を現場で調理に従事している人達に還元してあげればいいのにと思いました。

AEONの挑戦

 番組の最後にAEONの代表が「イオンは常に変化し続ける」というような主旨の発言をされました。一般企業なので利益を上げるための改革は重要ですが、それをやり過ぎない、従業員に大きなストレスや負担を強制しないようにしてあげないとと外野の勝手な想いです。番組ではスーパーの総菜作りに焦点を当てたドキュメンタリーのような内容で、本当に感動しましたし、もっと感謝して惣菜を購入しようと考えさせられました。しかし、一方では現場で働く人たちをもっとケアして、収入面で還元される社会になればと思います。

 最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました。